旋律、追憶、現在、未来
言葉にならない。言葉に出来ない。 具体的にしようとすればするほど、雲散霧消。 だから、彼女は音を紡ぐ。 弦をはじいて、息を吹き込んで。
プロフィール

恵那(K―na)

Author:恵那(K―na)
誕生日:12月8日
星 座:いて座
誕生花:チャ(追憶)
身 長:169センチ
兄呼称:兄(あに)
好きなもの:兄、ギター、ハーモニカ、コーヒー、シャーリー・テンプル(ノンアルコールのカクテル)、パソコン
嫌いなもの:甘いもの、香水の臭い、虫全般。



駅前なんかでパフォーマンスもしつつ、作曲家を夢見る女の子。口調はそっけなく、どこか古めかしい。
愛用の楽器は祖父からほぼ無断で貰い受けたギターと、小遣いをためて買ったブルースハープ。
他にもいくつか楽器はかじっているが、さほど得意とはいえないらしい。
最近、犬を飼い始めたとか。






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生命の歌
残り少ない夏休み。
近所に住んでいる同級生から、花火でもしないかと声をかけられた。
確かに、夏は残り少ない。
先日のおすそ分けも悪くは無かったけど、思う存分花火を楽しむのもまた格別だろう……。
私はせっかくだから、と母に言われて紺の浴衣を着せられた。


「あ、おーい恵那ちゃん!こっちこっち!」
 同級生のみんなが私を手招きしている。私は走るに走れず、ゆっくりと歩いていった。……浴衣は走るには向かないと思わないか、兄……?
「わあ、恵那ちゃん浴衣なんだね!凄く似合ってる!」
 ありがとう、と礼を言うとすぐに花火大会が始まった。

 闇を裂き、火花を散らす手持ち花火。
 縦横無尽に辺りを走り回るねずみ花火。
 刹那の静寂の後に鮮やかな華を咲かせるロケット花火。
 精一杯の生命を連想させる……線香花火。

 花火をしている合間合間に、高く澄んだ音色が聞こえた。
 はじめは空耳かと思っていたが……どうしても気になって。
「皆、すまない。少し確認したいことがあるんだ。」
 私は輪を抜けて、公園の隅にある花壇のあたりにしゃがみこんだ。
……はたして、「音」の主は、いた。

 鈴虫。秋に鳴く虫……だ。
 昼間はあれほど蝉が騒いでいたというのに……もう秋の気配は忍び寄っている。
 暦の上でだけでなく、確かな形で。

「恵那ちゃーん、どうしたのー?!最後に大きいの打ち上げるよ!」
 同級生の声で現実へと引き戻され、私はまたゆっくりと皆の元へと戻っていった。


 ねえ、兄。秋は近いよ。私はやはり芸術の季節だけど……兄にとっての秋は、どんな季節なのかな……?
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古いアルバム
 兄が好きだ。
 その好きが「妹」としてなのか、もっと大きく「家族」としてなのか。あるいは人間としてか……もしかしたら、「一人の男性」としてかもしれない。
 そんな区別がわからないころから、ずっと私は兄が「好き」だった。

 私は兄のことを「兄」と呼んでいる。……我ながら奇妙な呼び方だとは思うけど、兄もその呼び方を嫌っているわけじゃないみたいから……私はずっと昔から、「兄」って呼んでいる。



 時折、私はアルバムを眺める。
 遠い記憶が、私の中の何かを呼び覚まし……優しい音を奏でる。幼き日の、兄の声。兄の笑顔。私の疑問に困ったまなざしを向けたことも、ある。
 優しい……それこそお人よし一歩手前と言っていいくらいに優しい、私の兄。私のアルバムには、兄が一緒にいる写真ばかりで……
 ……おや。写真が一枚落ちた。このアルバムも古いからな……買い換えて、写真を移し替えたほうがいいかもしれないな……。
 まあ、アルバムの件は後日考えるとして……これは……ずいぶんとまあ古い写真だ。見たところ、兄がまだ私と暮らしていたころのものじゃないか。兄が絆創膏を持って、私はギターを片手に泣いていて……ああ、思い出した。あの日の写真だ。

 物心ついた頃から、私のかたわらにはギターがあった。なんでも、私は人形や可愛らしいものには目もくれず……興味を示すものといったら私が生まれる前には亡くなっていたらしい祖父のギターと、隣の家から聞こえてくるピアノの音だったそうだ。
 ……三つ子の魂、なんとやら、だね。未だに私が興味を示すのは、楽器の音と兄だけだ。それはともかく……この写真が取られた日も、私はギターの絃をいじって遊んでいたんだ。
 もちろん、コードなんてできやしない。……それ以前にギターを構えるには少々体が小さすぎた。だから……今考えれば滑稽だけど……まるで琴でも弾くかのように、ギターを床に置いて爪弾いていたんだ。それこそ、毎日のように。
 そうしたら……まあ、当然と言うか……ある日、絃が指に食い込んで、怪我をしてしまったんだ。私はびっくりして、痛くて……泣きだしてしまった。
 その泣き声を聞いて駆けつけたのが……兄だったんだ。

「どうしたんだ、恵那ちゃん?」
「あ、あに……。ゆび……。」

 今でもそうだが、昔から私は言葉を話すのが苦手で……それだけ言って血のにじんだ指を見せた。兄は私の指を見るとすぐにどこかへ行ってしまって……私は心細くて、涙が止まらなかった。
 けど、すぐに兄は戻ってきた。手に絆創膏と消毒液を持って。

「ほら、泣かないで。今、治してあげるから。」
 そう言って兄は絆創膏を私の指に巻きながら……「いたいのいたいの、とんでけ」って、おまじないを掛けてくれたんだ。そうしたら不思議と痛みは消えて……私は笑っていたんだ。
「ありがとう、あに。だいすき!!」


 ねえ、兄。
 私はあのころから変わっていないよ。……体は大きくなって、ギターの腕も上がった。でも指をたまに怪我しては……女の子としては不恰好な指になっていってしまう。
 それでも止められないんだ。
 ……兄への想いを、音に託すことを。
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